BGMの選曲について by qra
ゲーム内容についてのネタバレを含みますのでご注意ください。
キャラクターやスタンドの元ネタをBGMにする…と言っても、
元ネタには曲名だけでなくアーティストやグループの名前、アルバムの名前など様々です。
曲名の場合はその曲をそのまま選べば良いのですが、アルバム名の場合はその中のどの曲を選ぶか、
グループ名ならば、まずどのアルバムか選び、さらにその中のどの曲を選ぶか決めなければなりません。
この作業には、実際にMIDIファイルを探す作業も含めて3ヵ月〜4ヶ月ほどかかりました。
同じ曲でも、どのファイルを使うかも考えどころです。
有名な曲ほどファイル数が多く、無数にある中から厳選して選びました。
基本的には
@そのグループを代表するような曲
Aなんとなくスタンド能力やキャラクターと関係ありそうな曲
B原作でズバリ登場している曲
C間違いなく原作の元ネタになっているであろう曲
Dその他の理由であえて
という順で、下に行くほど重視しています。アルバムを選ぶ基準も似た感じです。
・「パールジャム」Pearl jam [Alive]
Ariveが収録されているアルバム「Ten」はデビューアルバムにして全米2位、
そこからシングルで発売されたAriveもヒットした曲なので@の条件は十分に満たしていますが、
それだけではなくて「Ten」についているミニポスターは、ジョジョ41巻の表紙絵の元ネタになっています。
子供の頃なにげなくこのアルバムを買い、ポスターを開いた時の驚きは忘れられません。
荒木先生は間違いなくこのアルバムを持っているだろうということで、
スタンドのパールジャムとは直接的な関係はないもののCになり、他のヒット曲よりも優先されました。
・「ダンジョン内デフォルト曲」 King Crimson [21st Century Schizoid Man]
装備品でBGMが変わるというシステム上、ダンジョン内デフォルトの曲はもっとも多く聴くことになります。
その点を考慮して、当初はking Crimsonの曲の中でも静かめな、耳障りにならない曲を選んでいました。
が、公開直前になって、いーややっぱりディアボロだったらこの曲だろう、
うるさかろうがどうでもいいや、と変えてしまいました。
ちなみにこの曲は邦題を「21世紀の精神異常者」といいますが、最近のアルバムを買うと
「21世紀のスキッツォイドマン」となっているようです。 差別用語ということでしょうか。
ジョジョ作中ではこの曲と関わりがある描写や表記はありませんが、なんとなくの雰囲気でAです。
・「ストーン・フリー」Dolly Parton [Jolene]
最初はオーソドックスにJimi Hendrixの「Stone Free」を探しましたが見つからず、ジョリーンの名前からこの曲になりました。
作中でグェスが歌っているのはこの曲(に間違いないと思う)ですが、意外と知らない人が多かったみたいで、
原作を深く読み込めるという意味ではこちらで良かったかなと思っています。
同じように「タスク」Chuck Berry [Johnny B. Goode]も作中でジャイロが歌っているための選択です。
これらはBになります。
・「メタリカ」Metallica [ATTITUDE]
スタンドのメタリカと言ったらロォォォドということで当初はアルバム「ロード」から1曲選んでいました。
が、ちょっと前に放送された荒木先生の出演されているテレビ番組を見ていたところ、
自宅のCD書庫内で「荒木さんは創作の時に曲を聴いてそのシーンのイメージを膨らませます」というナレーションと、
メタリカのアルバムがズラリと並んでいる棚を指し「バトルだったらメタリカ」というような事を言っていて、
その時に「ATTITUDE」がBGMとして流れました。同時に擬音や映画の効果音の事なども語っていて、
番組を見た人はめちゃかっこいい演出だと思ったのではないでしょうか。
この選曲が荒木先生によるものか、番組スタッフの独断かわかりませんが、お勧めされて無視するわけにはいきません。
ということでDです。
・「ハイエロファントグリーン」Sting [English Man In New York]
BGM関係ではこの曲についての質問が多かったような。花京院の
好きなミュージシャンがスティングだから、というシンプルな理由です。
スティングも選択肢は多いような気がしましたが、曲を発表した年、歌詞の内容を考えるとこの曲一択ではないかと思います。
エメラルドの方は隠しDISCということもあるので、それほど拘らずに最近の有名曲です。
・「ホテル内/亀の中」
ホテル内の曲Eagles [Hotel California]はムニエルさんのコラムでもちょっと触れられていましたが、
特に元ネタというものはありません。
ありませんが、歌詞の内容から考えるとこのゲームの主題歌といってもいいようなものかもしれません。
亀の中の曲はT.rex [20th Century Boy]。亀のスタンドがT.rexと覚えていたのですが、
その後変わっていたのですね。うっかりしてました。
今は亀がココ・ジャンボでスタンドはミスター・プレジデントという名前です。
しかも20th Century Boyは7部で出てきたので、ますますグダグダです。
・「ファイトクラブ」 The Pixies [Where Is My Mind?]
グループ名も曲名も、サバイバーとは関係無さそうで「?」と思われた方が多いと思いますが、これは
映画「ファイトクラブ」の主題歌です。
このゲームを作るにあたって、私の知識が足りないために映画ネタ関係の要素をあまり入れられなかったのが惜しいところです。
・「ハイウェイスター・ハウス」Deep Purple [Speed King]
初期は当然のごとく、他のモンスターハウスと同じ「Highway Star」を流していましたが、あまりに芸が無いので別の曲に。
噴上裕也のスカーフに書かれている文字からのネタです。
似たような原作小ネタ系では、水族館ハウスのMadonna [Like a Virgin]などもあります。
・「エコーズ act1/act2」Police [Roxanne]
エコーズは装備・射撃と全部で3つもあるので、すべてPink Floydの[Echoes]だけでは味気ないと思いました。
そこで康一の飼い犬の名前が登場です。関係あるような無いような…
ほんとはどちらか筋肉少女帯にしたかったのですが、おそらくMidiファイルがない&ゲーム中にそれだけ浮くという理由で没に。
ヘブンズドアーで本にされた康一の顔の中に無数に書かれている歌詞、タイトルあたりからとなりそうですが、その中だと
「君よ!俺で変われ!」あたりが時期的に妥当だったかな…。読みにくい文字で書かれている上に、
コミックスだとほとんど文字がつぶれちゃってますが。
・「タワーオブグレー」 Eagles [Desperado]
・「エンペラー」 Hall and Oates [Kiss on my List]
・「ザ・ハンド」 The Band [The Night They Drove Old Dixie Down]
イーグルスのグレン・フライ→塔の本体グレーフライ、ホール・オーツ→ホルホース、ザ・バンド→ザ・ハンド
このあたり後付けというかこじつけっぽい気がするのですが、公式に出ているコンビニ本の解説でこれが元ネタだと書いてありますし、
そういうことになっているのでしょう。
なんとなく気が進まなかったのですが、仕方ありません。
・「ツェペリさんを仲間にした時」Led Zeppelin [Kashmir]
レッド・ツェッペリンも名曲揃いなので、どの曲を選んだとしても結局個人の好みでアレが良いコレが良いってなるだろうし…
という感じではあるのですが、あえてこの曲にしたのは、荒木先生が70年代アルバムベスト10を選んだときに、
この曲が収録されている「フィジカル・グラフィティ」をトップで紹介していたからです。
このアルバムはジャケットに穴が開いていて中の絵を変えられたりと、
JOJO A GOGOの元ネタになっているんじゃないかという気もします。(実物は触った事ないのでわかりませんけど)
・「ペッシを仲間にした時」Beach Boys [Surfin' USA][Good Vibrations]
Beach Boysを語る時、初期のいわゆるサーフィン・サウンドのロックグループとして見るか、
アルバム「ペット・サウンズ」以降の前衛的・実験的な音楽製作グループとして見るかで、語り口はかなり違ってきてしまうかと思われます。
私はだいぶ世代が違うので詳しくありませんが、リアルタイムで見ていたお父さん世代であればその差は大きいのかもしれません。
サーフィン・サウンドのイメージがあまりに大きかったためか、近年になってようやく
ペット・サウンズ以降の作品の評価が高まってきた(というか正当な評価がされはじめた)ということです。私のように
洋楽を聞き始めた頃にはすでに作品が出揃っていて、他にも様々なジャンルの音楽がすでにあるような世代には、
当時あまり評価されなかったと言うのはあまりピンと来ない話です。
さてペッシですが、プロシュート兄貴が見せた覚悟によって成長したペッシを、画像の顔つきとBGMを変える事によって表現してみました。
曲を知っていれば、BGMの変更を聞いただけで急激な成長ということがわかるのではないでしょうか?
当初はGood Vibrationsではなく、アルバム「ペット・サウンズ」から私が好きな「Sloop John B」にするつもりでしたが、
7部を読んでたらそのままな登場人物が…
・「デス13」 The Beatles [Good Night]
ジョジョも洋楽もある程度知っている人ならばすぐに気がつきますが、この曲だけは元ネタにまったく関係がありません。
セオリーでは本体「マニッシュ・ボーイ」の元ネタのマディ・ウォーターズの曲になりますが、
それほどメジャーな曲ではないためかMidiファイルがひとつも見つけられませんでした。
この曲はストーンズもカバーしているのでそちらの線でも探してみましたが、それでも見つかりません。
ではエルム街の悪夢のサントラとかどうだろうかと考えたりもしましたが、やはりしっくりきません。このままでは
デス13のDISCはお蔵入りとなってしまいます。(BGMがないため没になったり装備DISCではなくなったりしたものはいくつかあります)
この問題と同時に、もうひとつ別の問題もありました。「4つのカブトムシ」の問題です。
エクストラダンジョン「一巡後の世界」に行くためには「4つのカブトムシ」が必要となりますが、
これはBGMがビートルズの曲のDISCを集めるということでした。
当初は単純にビートルズの曲を4つ集めれば良いやと考えていましたが、スタープラチナとハーミットパープルが
同じ曲だったりスタープラチナがベースオンリーだったりしたため、あまりスマートとは言えませんでした。
さらに言うと、イエローテンパランスのBGMも最初は「Drive My Car」にしていましたが、「Get Back」もポールの曲だし、
ポールの曲ばかりになってしまうという問題もありました。
できればビートルズのメンバー4人がそれぞれリードボーカルになっている曲を集めたいということで、構成を考え直しました。
「Get Back」(ポール)とホワイトアルバムの「While My Guiter Gentry Weeps」(ジョージ)はこのままでなくてはいけません。
アルバム「ラバーソウル」からジョンの曲を一曲選ぶとしたら、代表的な曲ばかりなのでやや迷いましたが、
Midiファイルを聞き比べて「Girl」にしました。個人的にはこのアルバムだとジョージボーカルの曲や
ジョンポール共作の曲が好きなのですが、私情を挟んではいけません。
さて一番の問題がリンゴボーカル曲でしたが、ここで最初のデス13のBGM問題を思い出して「Good Night」に。(子守唄のような曲です)
直接の元ネタではありませんが、4つのカブトムシの事も考えれば妥協できる着地点と思いました。
もしこの曲が入れられなかったとしたら、「一巡後の世界」は別のダンジョンになっていたはずです。
余談ですが、4つのカブトムシを合成後にできるDISCは、当初「C-MOONのDISC」を考えていました。
原作どおりというのもありますし、ビートルズの曲→成長してポールのソロ曲(C-MOON)という流れが美しいのではないかと考えたためです。
が、ゲームとして考えてみると合成素材を集めるだけでも一苦労なので、
ここは直接メイドインヘブンにした方がスマートだろうと、現在の流れになりました。
・「メイドインヘブン」Red Zepplin [Stairway To Heaven]
「なんでQueenの曲じゃなくて云々〜」という事が言われてそうなのは想像に難くありませんが、
ステアウェイトゥヘブンという実に良いスタンド名がなかったことになるのはもったいないなあという思いがありました。また、
今でもコミックスを読み返すと微妙な違和感を覚えます。
帰ってきたウルトラマンをウルトラマンジャックと言われると違和感があるのと似たような感じです。
最も繰り返して読み返したのがジャンプ掲載時だったからかと思いますが、コミックスでは初版からメイドインヘブンですし、
だんだんと名前が変わった事を知らないというファンも増えてくると思います。
そういう人も「なんで?」とちょっと思ってくれると良いなと。
